同年の9月にオープンしたばかりのBunkamura(渋谷)をメイン会場に、第3回映画祭は開催された。日本の若手映画監督に焦点を当てた「ニッポン・シネマ・ナウ」や、アジア映画の展望を見据えた「アジア秀作映画週間」など、新たな部門も創設。アジア発の国際映画祭としてさらなる発展を遂げた。
ポスターのデザインコンセプトは、“映画の竜宮城へ誘う乙姫様”。東京の文化拠点・渋谷に産声を上げたBunkamuraが映画ファンにとっての竜宮城さながらに、貴重な作品との出会いの場になったことは、東京国際映画祭にとっても大きな出来事だった。また「国際映画シンポジウム」では、世界7カ国から映画史家、映画評論家などを招聘。“映画の世紀”を振り返り、“映画にとっての古典とは何か”“映画は正しく保存されてきたのか”をテーマに意見が交わされた。協賛企画である「東京国際ファンタスティック映画祭」でも、「ジョルジュ・メリエス大回顧展」が行われるなど、20世紀最後の10年を前に、映画文化を振り返る試みに注目が集まった。
1. 特別招待作品『いまを生きる』のクロージング上映に駆けつけたイーサン・ホークさん。2. 『白く渇いた季節』でコンペに参加したスタッフ&キャスト。左から、俳優のドナルド・サザーランドさん、ユーザン・パルシー監督、プロデューサーのポーラ・ウェインスタイン氏。3. 『ロザリンとライオン』をコンペに出品したジャン=ジャック・ベネックス監督。 4. 『ヤーバ』でヤングシネマ部門さくらゴールド賞に輝いたイドリッサ・ウエドラオゴ監督(中央)。5. 三橋達也さん(左)と談笑するコンペティション部門審査委員の武満徹氏。 6. コンペティション部門の審査委員長イヴ・モンタンさん(左)と黒澤明監督。 7. 『バックマン家の人々』をコンペに出品したロン・ハワード監督。 8. ユン・ピョウさん(左)と名取裕子さんはこの後、『孔雀王 アシュラ伝説』で共演を果たした。 9. 『ブラック・レイン』の舞台挨拶に立つ高倉健さん。