記念すべき第1回東京国際映画祭は、世界の映画界から待ち望まれた日本で開かれる国際映画祭として盛大に幕を開けた。オープニングを飾った黒澤明監督の『乱』を含む140本の作品を上映。開催にあたっては、世界の映画人からメッセージが届けられた。
その舞台となった渋谷では、初日にパレードが行われ、大通りに面した屋外ステージで連日イベントが催されるなど、街は映画祭一色に。また駅前広場には、歴史に名を残す映画人たちのイラストが焼き込まれた陶板のモニュメントが飾られ、映画評論家・淀川長治氏による除幕式が行われた。
当時、渋谷区の映画館は同年に常設映画館としてオープンしたユーロスペースや、シネセゾン渋谷を含め16館。東京国際映画祭は世界有数の“映画の街”となった渋谷とともに、その歴史を歩み始めたのだ。